農業分野における「流動化処理土」の活用事例

2019.07.23

流動化処理土を用いた幹線用水路の改修(北海道での事例)

北海道浦臼町

昨今の農業農村整備事業の実施にあっては、社会経済情勢の変化と環境への関心の高まりから、農業用水利施設としての基本性能の確保を原則とし、併せて、建設コストの縮減や環境保全への配慮が求められています。

(図1:浦臼地区)

そういった状況にある中で、北海道の国営造成土地改良施設整備事業浦臼地区(図1:浦臼地区 北海道空知総合振興局)は、浦臼幹線用水路を改修する事業において、建設副産物(発生土/建設汚泥など)の有効活用が可能となる流動化処理土を採用し、建設副産物の発生抑制と一時仮置土などに必要な工事使用地の縮減、既設撤去から掘削、埋設を行う従来工法と比較して10%程度の工事費を軽減できたいう実績が「札幌開発建設部 樺戸農業開発事業所」から公表されています。

今回のコラムでは、その実績と公表内容から「農業分野における流動化処理土の活用事例」として幹線用水路の改修経緯と概要、工法比較をご紹介します。

幹線用水路の改修経緯と概要

地区の基幹的な用水施設である浦臼幹線用水路等は、建設以来30年以上経過していることから、老朽化に伴う施設機能の低下により、取水不能となる事態が発生するなど、農業用水の供給に支障を来たしている状況にありました。このため、複数に分散されていた機能を統合するとともに、浦臼幹線用水路等を改修して施設機能を回復させることにより、農業用水の安定供給と維持管理費の軽減を図ることを目的に計画・実行されました。

管水路の布設方法に「流動化処理土」を採用

管水路の布設は、実施設計において、水路の規模及び基礎地盤の強度、経済性などを勘案し「流動化処理土」が採用されました。

- 管水路埋戻し工法の比較 -

工法名称 エアモルタル 受台基礎 流動化処理土
断面図 エアモルタル充填 断面図 受台基礎 断面図 流動化処理土 断面図
既設水路の側壁
嵩上げ
×
10cmの嵩上げが必要
×
10cmの嵩上げが必要

必要なし
既設水路に対する影響
エアモルタル硬化後は
既設水路に影響なし

なし

流動化処理土硬化後は
既設水路に影響なし
管体保護
既設水路内へ
水の浸入

無筋コンクリート蓋継目部からの水の浸入が予想される

FRP製蓋の継ぎ目部(幅600mmのため継ぎ目が多い)から水の浸入が予想される。

アスファルト処理を行い、既設水路内は流動化処理土で緊密となるため水の浸入は無い
維持管理・冬期劣化
無筋コンクリート(T=10cm)と無筋コンクリート嵩上げ部について、経年的な凍害劣化・ひび割れが予想される。
エアモルタルの気泡内部や管とエアモルタルの隙間に水が浸入し、凍結融解現象によってエアモルタルの劣化が進行する恐れが予想される

無筋コンクリート嵩上げ部について、経年的な凍害劣化・ひび割れが予想される。固定バンドの金物が経年的に腐食(サビ)することが予想される。

アスファルト舗装及び流動化処理土により水が浸入する恐れは無い。流動化処理土が経年的に変形しても、アスファルトは追従性がある。
アスファルト舗装にひび割れ等が発生しても、補修材パッチ等で補修が容易。アスファルトは凍害劣化が発生しない。
経済性
(m当り概算金額)

2位 258千円/m

3位 344千円/m

1位 237千円/m
評価
△~1点
○~2点
◎~3点
【7点】
経年的な劣化・維持管理性で劣る。エアモルタルの劣化は管の沈下や管体への集中荷重の発生が懸念される。
【6点】
経済性、嵩上げに対する施工性・経年的な維持管理性で劣る。
【12点】
経済性、施工性、経年的な維持管理性で優れている。

地域資源の有効利用の実績についての総括

本取り組みを通じた建設コスト縮減と地域資源の有効利用の実績をまとめると、以下のとおりです。

  • 既設水路の利用と流動化処理工法の組合せにより、既設水路の取壊しに伴うコンクリート殻約120㎥/100m の建設副産物の発生を抑制し、浦臼地区の他工事で発生した約700tの建設発生土の再利用を実現。
  • 掘削による管水路布設に比して、一時仮置土などに必要な工事使用地を縮減
  • 既設水路と管水路は、固化した充填材により一体的な構造となり、全体として強度が増す。このため、埋設管の管種を下げることが可能となった。(FRPM管→FRPM 薄肉管)
  • 従来工法に比して施工日数の短縮を可能とした。既設水路の利用と流動化処理工法を組合せたことにより、従来工法の88日(概数)に比して約2/3の56 日となった
  • 以上より、既設撤去、掘削、埋設を行う従来工法に比較して、10%程度の工事費を軽減

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