無電柱化に向けたケーブル地中化技術 -流動化処理土-

2019.08.09

都市部での「無電柱化」推進

電柱が乱立しているイメージ

路上の電線や電柱は景観を損なうだけではなく、歩行者や車いすの通行の妨げとなり、地震や台風などの災害時には電柱の倒壊で、緊急車両等の通行に支障をきたすなど、防災、景観・観光、安全性の観点から様々な課題があります。こういった課題を解決するため、主に都市部において「無電柱化」に向けた議論や取り組みが加速しています。
国内における無電柱化事業は昭和61年(1986年)からの「第1期電線類地中化計画(昭和61年~平成2年)」をもって全国的な推進が開始されましたが、仙台市においてはその動きよりも一足早く無電柱化の取組みが開始され、主に仙台駅周辺においては電線管理者による地中化が行われています。

「無電柱化」国分町通(宮城県 仙台市)の事例

埋設手法の低コスト化や施工性の向上が必須

仙台市の上位計画における方向性

2016年(平成28年)12月に施行された「無電柱化の推進に関する法律」に基づき、仙台市では新たな無電柱化推進計画を策定していくこととしており、その基本的な考え方を示すものとして、2019年度(令和元年度)から2028年度(令和10年度)までの、10か年を計画期間とする仙台市無電柱化推進計画【基本方針】が作成されました。

しかし、課題として、今後は土地区画整理などの大規模な面整備は減少する見通しであり、こうした面整備に併せた無電柱化の推進が難しくなってくることも想定されます。また、無電柱化には多額のコストや長い事業期間を要し、工事や地上機器の設置場所に対する沿道住民の合意形成など課題も多く、特に従来方式の電線共同溝の整備費には 5.3 億円/km(うち道路管理者負担分は約 3.5 億円/km)を要するともいわれています。計画を実現するためには、限られた財源の中で効果的かつ効率的に無電柱化を推進していくことが必要不可欠であり、さらなる埋設手法の低コスト化や施工性の向上、さらには災害に強い施工法が求められています。

出典:仙台市無電柱化推進計画 https://www.city.sendai.jp/jigyokekaku/keikaku/mudentyu03.html

トレンチャーを使用した掘削が効率的

トレンチャーは溝掘機の一種で、比較的幅が狭くて深い溝を掘る機械

すでに無電柱化が広く進んでいる諸外国では、ケーブル埋設用掘削機械「トレンチャー」などを使用して、短時間に低コストで施工している事例が数多くあり、そうした事例を参考に、国内各地で「トレンチャー」を使用した検証が進められています。「トレンチャー」は溝掘機の一種で比較的幅が狭くて深い溝を掘る機械です。日本では見慣れませんが、バックホウと比べると掘削速度が大幅に早く、諸外国では開発・販売メーカーも多いため入手が容易で、無電柱化の工事に広く使用されています。

京都市と関西電力が行った「トレンチャー」を使用した掘削の実証実験では、京都大学正門前(東大路通と東一条通が接する交差点の西側)の掘削を約2分で完了できたという結果が出ています。今後さらなる検証が実施されると思いますが、海外での実績やこれまでの国内の検証から「トレンチャー」による掘削は、無電柱化に向けたケーブル地中化を推進するにあたっては必要不可欠な技術だといえます。

  • 【動画】京都大学正門前のトレンチャー実証実験
    NPO法人 電線のない街づくり支援ネットワークより

出典:NPO法人 電線のない街づくり支援ネットワーク https://nponpc.net/

締固め機械による施工は人件費増

幅の狭い掘削溝は締固めが困難になる場合も想定され、締固め機械による施工は人件費増

トレンチャーでの掘削後、発生土は両側に積み上げられた状態になり、バックホウなどで山を崩し埋め戻す方法が想定されますが、発生土を埋め戻した後に一般的な締固め機械(タンパやランマ)で幅の狭い掘削溝を締固めるには、困難になるケースも考えられ、掘削溝が深い条件で締固め施工を行う場合には、相応の人員確保が必要になります。さらに、作業を行った場合には作業者の疲労が大きく長距離の施工は困難になる可能性も考えられます。条件によってはスピード、コスト、安全性など様々な視点を考慮して十分な検討が必要になります。

狭く深い掘削溝の埋戻しには「流動化処理土」が有効的

流動化処理土による施工例

狭く深い掘削溝の埋戻しに、発生土をそのまま利用するのが困難な場合には、代替するひとつの資材として「流動化処理土」があげられます。「流動化処理土」は高い流動性を持つ特性から、均一に充填されるため土木工事による締固めが難しい狭い場所や空間などに充填し、固化後に発揮される強度と高い密度により品質を確保する土工材料です。
国内の無電柱化を推進し低コスト化手法や技術開発の啓蒙と推進に取り組んでいる「NPO法人電線のない街づくり支援ネットワーク」によると台北(台湾)では無電柱化の埋め戻しに「流動化処理土」が既に使われており、今後は日本でも埋め戻しに「流動化処理土」の活用が検討される可能性があるということで、その可能性が期待されています。

オデッサ・テクノスの流動化処理土について https://www.odessa-t.co.jp/service02/about-fluidization-process
流動化処理土 導入実績 https://www.odessa-t.co.jp/works/index

電線の地中化は液状化対策も必須

ライフラインとして重要な電線の地中化には、災害に強く安心・安全な都市空間の形成も同時に求められます。過去に発生した大地震では、ライフラインの液状化被害が多く多発した地域もあり、発生後は上下水道管に曲げや座屈の力が生じ破損、マンホールの浮き上がりや管の浮き沈みが発生した事例もあります。場合によっては緊急車両や工事車両等が通行できず、人命の確保や復旧作業の遅れが生じることもありえるため、液状化を発生させずにライフラインを破損させないことが重要です。その点「流動化処理土」での施工を行った場合には、強度と高い密度により液状化を防げるうえに、再掘削が可能な強度に設定ができます。
また、国土交通省水管理・国土保全局下水道部が実施した「下水道の社会実験」においては、施工断面の見直しによるコスト縮減と仮復旧の省略によるコスト縮減効果が期待されています。

液状化現象(軟弱地盤と流動化処理土の導入比較)

液状化対策に「流動化処理土」 https://www.odessa-t.co.jp/service02/service/service02/ekijoka

低コスト・高効率・災害に強い地中化技術の選択が急務

「無電柱化の推進に関する法律」が施行され法整備が整い、計画が策定される段階に入っていますが、これまでの非合理的な掘削の方法や技術自体を見直したうえで、さらなる低コスト・高効率の地中化技術の検討を進めると同時に、災害時に液状化によってライフラインや道路を破損させない施工技術や資材の導入検討についても一層議論が必要になるかと思います。

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